「ずれる」と「づれる」、どちらも聞いたことがあるけれど、どっちが正しいの?と思ったことはありませんか?
実はこの2つ、発音が似ているために混同しやすく、SNSや日常会話でも間違いやすい言葉なんです。^^;
今回は、そんな「ずれる」と「づれる」の違いをわかりやすく解説!
言葉の正しい使い方を学びながら、日本語の面白さにも触れられる内容になっています。

これを読めば、もう「づれる」で迷うことはなくなります!
「ずれる」と「づれる」の基本的な意味を確認しよう
「ずれる」の意味とは?
「ずれる」という言葉は、物や位置、時間、話の内容などが本来の場所やタイミング、筋道から少し外れてしまうことを表す言葉です。
たとえば、イスの位置がずれた、予定がずれた、話が本題からずれた、というように使われます。この「ずれる」は正しい表記で、現代日本語では日常的に使われている標準語です。
語源としては、動詞「ずる(退く・滑るなど)」に由来しており、「~する」という意味の接尾語「れる」がついて「ずれる」となります。動作が自然に起こる、または意図せずに起こる場合によく使われます。
「ずれる」は正書法に基づいたひらがな表記であり、どの辞書にも掲載されている正式な言い方です。そのため、学校やビジネス文書、公的な文章でも安心して使うことができます。
「づれる」の意味とは?
「づれる」という言葉自体は、基本的には「ずれる」の誤表記・誤用とされています。
つまり、意味としては「ずれる」と同じで、位置や時間、話の筋が少し外れることを指しているのですが、正しい表記ではないというのが一般的な解釈です。
なぜこのような間違いが起きるかというと、日本語の「ず」と「づ」の発音が非常に似ているからです。
多くの人が話し言葉として「づれる」と言っているように聞こえるため、それをそのまま文字にしてしまうことで「づれる」という誤表記が生まれています。
なぜ「づれる」は誤用とされがちなのか
日本語の発音では、「ず」と「づ」、「じ」と「ぢ」は発音上ほぼ区別がありません。これを「音韻的中立」と呼びます。
このため、話し言葉の中での違いはほとんど感じられませんが、書き言葉としては「ず」と「づ」、「じ」と「ぢ」は区別されています。
国語の学習指導要領でも、「ずれる」は「ず」と表記することが正しいとされています。そのため、「づれる」と書くと、学校教育や公的な文書では誤字とされてしまうことが多いのです。
使い分けが求められる背景
言葉の混乱を避けるためにも、正確な表記は重要です。たとえば、文章の中で「ずれる」と「づれる」が混在していると、読み手にとっては意味の違いを考え込んでしまう原因になり、スムーズに読めなくなる可能性があります。
また、ビジネス文書や公的な書類など、正確さが求められる場面では「づれる」は明確な誤用とみなされることがあります。
そのため、読み手への配慮や信頼性の確保のためにも、「ずれる」を使うよう意識したいところです。
辞書にはどう書かれている?
主要な国語辞典(たとえば広辞苑、大辞林、明鏡国語辞典など)では、「ずれる」が正しい表記として掲載されています。
一方、「づれる」は見出し語としては存在しておらず、「ずれる」の表記を参照するように書かれている場合がほとんどです。
したがって、辞書的にも「ずれる」が正しく、「づれる」は一般的に誤りであると判断されます。

文章を書くときには、辞書で確認する習慣をつけると安心です。
「ずれる」と「づれる」の違いを具体例で見てみよう
日常会話での使用例
「ちょっと椅子がずれてるよ。」
「予定がずれてしまったから、明日にしよう。」
「話がずれてるから、元に戻そう。」
一方、「づれる」は実際に文字にすると違和感が出ます。
- 椅子がづれてる → 違和感あり
- 予定がづれている → 誤用とされがち
ビジネスシーンでの使い方
- 納期が少しずれそうです。
- 担当者の認識がずれているようです。
- 会議の内容が当初の目的とずれてしまいました。
「づれる」と書くと、相手によっては誤字として信用性を損なうこともあります。
ニュースやテレビでの使い方の傾向
- 地震によって地盤がずれました。
- 計画の実施時期が当初からずれています。
音声では違いが分かりにくくても、表記は「ずれる」が使われます。
SNSやネット上の誤用例
- 予定がづれた〜
- なんか話がづれてきた(笑)
あえて使うネットスラング的な要素もありますが、誤用だと理解した上での使用が望ましいです。
どちらが正しい?迷いやすいフレーズまとめ
フレーズ(誤) | フレーズ(正) | 解説 |
---|---|---|
椅子がづれてる | 椅子がずれてる | 正式表記は「ず」 |
予定がづれた | 予定がずれた | 公的文書ではNG |
話がづれた | 話がずれた | 会話では聞き流されがちだが誤り |
「づれる」は本当に誤用?国語辞典・文法書の見解とは
文法的にはどう説明されている?
日本語文法の視点から見ると、「ずれる」が正しい活用形になります。
日本語の動詞は、語幹と語尾の組み合わせで活用されますが、「ずれる」は「ずる(退く、滑る)」が元となり、自動詞化して「~れる」の形をとったものです。
この構造は「外れる」「漏れる」などと同じパターンです。
一方、「づれる」は、五十音表の「づ(ぢ)」が入る位置に当てはめると不自然な活用となります。したがって、「づれる」は発音上の誤解から生まれた誤用だと考えられます。

文法的な観点でも「ずれる」が正しい形とされています。
NHKや文化庁の表記ルール
NHKの「ことばのハンドブック」や文化庁の「国語に関する世論調査」でも、書き言葉において「ずれる」が正しいとされています。
特に報道機関では、視聴者に誤った言葉の印象を与えないよう、厳格な表記ルールが定められており、原則として「づれる」は使われません。
文化庁の調査では、多くの人が「ずれる」が正しいと認識している一方で、発音上の影響から「づれる」と書いてしまう人も一定数いることがわかっています。
このような誤用が定着しないよう、教育現場でも表記の統一が求められています。
誤用とされる理由の歴史的背景
歴史的に見ると、日本語の「ず」と「づ」の発音はかつて明確に区別されていました。しかし現代ではその違いが失われ、音としてはほぼ同じになっています。これを「音韻の合流」と呼びます。
このため、話し言葉では区別がつかなくなり、書き言葉でも混同が生まれるようになりました。特に、スマートフォンのフリック入力などでは「づ」も簡単に入力できるため、間違いがより顕著になっています。
辞書が認めている表現の変化
近年、一部の辞書では誤用に関して「俗に〜と書かれることもある」という注記がつけられるようになりました。たとえば明鏡国語辞典では、「づれる」は誤表記である旨が明記されています。
これは、誤用があまりに広まってしまったため、辞書としても無視できない存在になっていることを示しています。ただし、意味の違いや用法が変わったわけではないので、依然として「ずれる」が正しい表記です。
教育現場での指導の実情
小学校や中学校の国語の授業では、明確に「ずれる」が正しい表記であると教えられています。また、漢字テストや作文などでは「づれる」と書いてしまうと減点対象となることが多いです。
このように教育の現場でも、標準語としての「ずれる」が徹底されており、「づれる」は誤りとして指導されるのが一般的です。間違いを避けるためには、学校教育の指導内容を素直に信じておくのが賢明です。
「ずれる」と間違えやすい他の言葉たち
「それる」との違い
「それる」は、本来の方向や目的から意図的または無意識に離れてしまうことを表す言葉です。「ずれる」と似ているようで、意味の使い分けには注意が必要です。
状況 | 正しい表現 | 説明 |
---|---|---|
会議中に少し話題が変わった | 話がずれた | 本題と近い内容に変わった |
脱線して全然違う話を始めた | 話がそれた | 本題から完全に離れた |
「外れる」との違い
表現 | 状況 |
---|---|
メガネの位置が少しずれている | 微調整レベルのズレ |
メガネのネジが外れて落ちた | 構造が壊れた・分離した |
「逸れる」との違い
「逸れる(それる)」は「人混みから逸れる」「雨雲が逸れる」といった、意図的でない外れ方を表すことが多いです。「ずれる」が少し外れることを意味するのに対して、「逸れる」は予測不能な方向へのズレを表します。
「ズラす」との関係
「ズラす」は他動詞で、「自分で何かを動かす」という意味があります。
- 机をズラす → 自分で動かす
- 机がずれる → 勝手に動いた、または自然に動いた
音の似た言葉との混同に注意!
「する」「ずる」「滑る(すべる)」など、「ずれる」と音が似ている言葉はたくさんあります。特にスマホでの入力や早口の発音では、正確に区別しにくいため注意が必要です。「じ」「ぢ」や「ず」「づ」も混同しやすいので、文字にする際には必ず確認しましょう。
混乱しないための使い分けのコツ&覚え方
覚えやすい語呂合わせ
「ズレる時計はズっと使う」という語呂合わせで、「ずれる=ズ」と覚えると便利です。また、「づ」は「つ」の濁音、「ず」は「す」の濁音と認識することで混乱を減らせます。
よく出る例文で練習しよう
- 今日の会議は予定より30分ずれた。
- 話が少しずれてきたから、元に戻そう。
- 天気予報がずれて、雨が降らなかった。
実際に使う場面を想定して繰り返すことで、自然と正しい表記が身につきます。
使い分けチェックリスト
チェック項目 | 該当すれば「ずれる」 |
---|---|
自然に動いた? | ✔ |
時間や予定が少し違った? | ✔ |
話がちょっとだけ外れた? | ✔ |
子どもにも教えられる簡単な説明法
「ずれる」は「ず〜っとすこしだけずれるって覚えようね」と語呂合わせで説明できます。また、「テストで×になる『づれる』は使わないようにしようね」と指導するのも効果的です。
無理に覚えなくても大丈夫なコツ
スマホやPCでの入力時に正しい変換候補が出るかを確認することで、自然に表記ミスを減らせます。よく使う言い回しをメモアプリや辞書登録するのもおすすめです。
まとめ
「ずれる」と「づれる」は、発音は似ていても意味や使い方に明確な違いがあります。「ずれる」は正式な表記で、辞書にも掲載される標準語。一方「づれる」は発音上の誤解から生まれた表記ミスです。

「それる」「外れる」「逸れる」など、似た言葉との違いを理解しておくと、日本語の表現力が格段にアップします♪